講演と懇談 「がんの最前線 「緩和ケアとは」」

平成27年3月2日、北見赤十字病院の明日を考え支援する会の平成27年度(第6回)総会記念イベント、講演と懇談 「がんの最前線「緩和ケアとは」」を午後3時から開催した。
昨日は暴風雪で断続的に強風が吹き付け、湿った雪が降り続けるなか、多くの皆さんのご来場を賜り、感謝の気持ち、いっぱいで始まった。
午後3時から講演「がんの最前線「緩和ケアとは」」と題して後明先生がパワーポイントの画面を示しながら講演を行った。
この世で唯一確実な統計は?、人の死亡率は100%である。というあたりまえで含蓄のある話から、緩和ケアとターミナルケアの違い、どんなにも激しい痛みであっても80%以上は痛みを緩和できる、また全身倦怠感(身の置き所がない)は薬物療法代替療法などで緩和することができるようになった、ことなど最近の緩和ケアのお話しを聴くことができ、大変有意義であった。

谷川代表の挨拶と講師紹介


後明郁男講師(北見赤十字病院 緩和ケア内科部長 兼 院長補佐監)


この世で唯一確実な統計は?、人の死亡率は100%である

午後4時からは前段の講演を受けて、後明講師・安藤師長(緩和ケア病棟師長・緩和ケア認定看護師)・部川師長(がん看護専門看護師)・廣川総務課長・谷川代表がコメンテーターとなり、逢坂会員が進行役、そして会場の皆さんと懇談を行った。
がんの療養は、がんそのものによる痛みのほかに、手術・放射線抗がん剤の治療による痛みや精神的・社会的・スピリチュアル(霊的)な苦痛など辛い時間が続きます。
痛みは採血などの検査では解らないので、患者みずから訴え出なければ医師や看護師さんに気づいてもらえない。そこで患者は解ってもらうにはどうした良いのかを話し合った。
看護師長は具体的なシーンを患者と共有しながら対話をして痛みの度合を聞き出すようにしているが、痛みで苦しんでいる患者がそのことを言い出すのは大変なことも解っているが、どんなことでも話して欲しいと会場の皆さんにアピールした。
迷惑を掛けたくないと遠慮して痛いのを我慢するケースがあるが、とにかくどんなことでも話して貰わないと医師はその痛みを理解できない。そして医師は○○だろうと勝手に判断することは慎んでいると、先生は発言した。
時間がなく、会場からの質問を受けることが出来なかった。
次に在宅での緩和ケアの話題に移った。住み慣れた自宅で家族やペットに囲まれ気持ちが穏やかになり、痛みや苦しみが和らぐと聞き及んで居ます。病院の在宅緩和ケアの体制についてお伺いします。
高齢者支援センター(昨年10月から地域包括センターが名称変更)を中心に訪問看護師・ケアマネージャー・リハビリ・街の開業医そして当院の緩和ケアスタッフなどがチームで取り組んでいます。
現在、外来で40名程のケアを在宅で支援しています。365日、24時間体制で取り組んでいます、そして緊急のときは緩和ケア病棟が対応してます。現状のスタッフではこれが限界です、今後、後輩の育成や増員が望まれます。
この取り組みに対して、会場から病院の対応で大切な人を看取った方の体験が報告された。関係の皆さんに自宅で様々な対応をして戴き、自宅でゆっくりとすごすことができ、緩和ケア部門のスタッフに感謝していると語った。
最後にまとめとして、後明先生はがんで亡くなる人が増える状況で、在宅医療の重要性を指摘し、新病棟の役割を(1)日々進歩する緩和ケアのモデルを示す、(2)在宅ケアの緊急入院への対応、(3)がん患者の緩和ケアへの入院対応の3点が重要と結んだ。


後明先生の発言


看護スタッフの発言


北海道新聞(H27/03/03付け)


イベントのチラシ

平成27年3月3日
北見赤十字病院の明日を考え支援する会
副代表 逢坂信治